ナナイロ島根オフィスのある島根県出雲地方は
毎年11月、神聖な雰囲気に包まれます・・・
古来、全国では旧暦10月を「神無月」といいますが、
ここ出雲では「神在月」(かみありづき)と呼びます。
これは、全国の八百万(やおよろず)の神が出雲に集まられ、
縁結び等の神議をなさるためだといわれています。
今年は11月5日に出雲大社で神迎祭が行われ、
全国の神様を出雲にお迎えしました。
そして、11月26日に神様はそれぞれの持ち場へお帰りになるのですが、
そのとき最後にお立ち寄りになるのが、ここ斐川町にある「万九千神社」(まんくせんじんじゃ)だと言い伝えられています。
毎年11月26日。
万九千神社では神様を送り出す「神等去出祭」(からさでさい)が行われます。
この日は朝から、柿やゆず等の苗木・植木市や、海産物、金物などの露店が出て賑わいます。
地元では「万九千さん」「からさでさん」と呼ばれ、親しまれてきたそうです。
私は夕方17時頃から行ってみたのですが、
境内にはたくさんの人がいて、殿内の神事を見守っていました。
万九千神社では、夕刻になると八百万神に出雲からのお発ちの時が来たことを
奉告する儀式が行われます。
宮司さんが幣殿の戸を梅の小枝で「お立ち」と三度唱えながら叩く所作をするそうです。
残念ながら、境内からはその様子は見えませんが、
厳かな雰囲気は幣殿の外まで伝わってきました。
その神事が終わると、宮司さんが出てきて境内に集まっている人々に御礼の言葉がありました。
そして、「これより先は、すみやかにお帰りになって、夜参りは控えてください。」との言葉が・・・
「言い方は悪いようですが、場合によっては命を落とすことがあると伝えられています。」と真剣な表情で警告されました。
その言葉の後に、関係者以外は皆さん速やかに帰路へ着き、
露店もタイミングを見計らっていたかのように次々に閉店。
この地では、神様への畏敬の念がいまだに深く根付いていることを実感しました。
この晩、神々は万九千神社で直会(なおらい)と呼ぶ酒宴を催され、
明年の再会を期して、いよいよ各地の神社へと帰途につかれるそうです。
そんな神去出(からさで)の夜、地元では境内を覗いたり、外出したり、
大声を出したりすると神罰があると恐れ慎み、寝床について静かに神々を
お見送りする風習があるそうです。
ちなみに、万九千神社周辺の地名を「神立」(かんだち)と称するのも
これに由来するといわれています。
万九千神社に向かう途中、車の中から撮影した夕陽。
幻想的な雲が出ていて、一緒にいたスタッフと思わず
「あの雲に乗って神様は全国へ帰るんじゃない?」という会話をしました。
神秘的な出雲の文化や風習は本当に興味深いです。
皆さんも、神在月の出雲に遊びに来てみませんか。
kojima